Introduction
『GHOST IN THE SHELL ‐攻殻機動隊‐』『Avalon』『イノセンス』等で知られる世界的クリエイター・押井守監督が創り出した、立喰いによる無銭飲食を生業とする架空の仕事師=≪立喰師≫。『うる星やつら』ほか数々の自作に登場させた同監督のライフワークとも言えるモチーフで、06年には歴代の立喰師をめぐる虚実入り混じった昭和史を描く映画『立喰師列伝』が完成。そして07年、ついに、美しき女立喰師たちを主役にしたユニークな映画が誕生しました。
押井監督自身が6作品中2作品のメガホンをとったのに加え、特撮やアニメの分野ですでに活躍中の監督や、押井監督がその実力を認める若手たち総勢4人の監督が、≪立喰師≫というフィールドに初めて挑戦。気鋭のクリエイターと魅惑の女優陣が贈る、鮮烈なイマジネーションと娯楽性に満ちた秀作揃いのオムニバス映画──それが、この『真・女立喰師列伝』です。
主演は、ひし美ゆり子、佐伯日菜子、小倉優子、安藤麻吹、水野美紀、藤田陽子という豪華な顔ぶれ。
また、主題歌&エンディングテーマを期待のアーティスト《樹海》が歌うのも話題です。
押井監督演出、兵藤まこ出演によるクールでスタイリッシュなオープニングに始まり、ラブストーリー、文芸ドラマ、ブラックコメディ、西部劇、SF等々、さまざまなジャンルの作品が<特盛り>になった、極上エンタテインメントをたっぷりお楽しみ下さい。
 
Episodes (上映順)
金魚姫 鼈甲飴の有理
監督・脚本:押井守/撮影・スチル撮影:坂★(ざき)恵一/撮影・編集:湯浅弘章
鼈甲飴の有理:ひし美ゆり子
カメラマン・坂崎一:吉祥寺怪人
「戦後思想」編集長 鈴木敏夫、カメラマン 坂崎一の声:鈴木敏夫(友情出演)

巧みな話術と背中の金魚の刺青を武器に、縁日の飴屋店主に賭けを挑む"伝説の女立喰師"と、彼女の現在のゆくえを捜し歩くカメラマン。『ウルトラセブン』のアンヌ隊員役で知られるひし美ゆり子、32年ぶりの映画主演が、押井監督の熱望で実現。静謐なる迫力に満ちた一編。
≪STORY≫
フリーカメラマンの坂崎一は、伝説の立喰師「鼈甲飴(ベッコウアメ)の有理」を探し求めて、今日も縁日の雑踏の中を徘徊していた。彼女は、高度成長期に出現した伝説のゴト師であり、飴細工の店で、主人に金魚の細工を求め、それが意に適う出来であれば自分の肌に入れた金魚の刺青を進呈し、適わざれば店の飴すべてを持ち去る……という勝負を挑んだという。
坂崎は、雑誌『戦後思想』編集長の鈴木敏夫から、有理が伊豆半島の某市にいるらしいという情報を得て、同地に飛ぶ。裏ぶれた温泉街の路地を抜け、とある古風な日本家屋に着くと、緑が美しい庭に面した座敷に彼女はいた。粋な絽の着物を着こなし、障子にもたれてコップ酒をかたむけるその女は、背中の金魚を撮影したいという坂崎の申し出を受けて立つが……。

荒野の弐挺拳銃 バーボンのミキ
監督・脚本・撮影・編集:辻本貴則/撮影:湯浅弘章
バーボンのミキ:水野美紀
フランコ署長:辻本一樹
サブ:川本淳市

その美貌と華麗なガンさばきで男たちを圧倒し、"幻のバーボン"を求めてさすらう立呑師・バーボンのミキ。架空の時代、架空の日本人街を舞台に繰り広げられる、壮烈なガン&ボディ・アクションとコミカルテイストが融合した、立喰師史上初の痛快ウエスタン。
≪STORY≫
いつとも知れぬ時代------砂嵐吹きすさぶアリゾナ州ジャップタウン。ここは、暴力が支配する町。とある酒場のテーブル席で、美しい女・ミキが常連客と酒の呑み比べの勝負をしていた。女は「早撃ちのミキ」と呼ばれるさすらいのガンマンで、この店に秘蔵されていると言われる"幻のバーボン"を目当てにやって来たのだった。
酒に酔った勢いでからんできた客に威嚇発砲したミキに対して、署長のフランコと保安官のヒロは、この町では風情のない自動式拳銃は所持禁止だと迫る。暴力で町を支配し、住民たちに圧政を強いてきた二人に、「酒もケンカも、男には絶対負けない」と宣言するミキは勝負を挑む。早撃ち同士の壮烈なガンファイトが、今、幕を開けた。

Dandelion 学食のマブ
監督:神山健治/脚本:神山健治・檜垣亮/撮影:村川聡/編集:植松淳一
学食のマブ:安藤麻吹
神山店長:神山健治(声:内田夕夜)
白い粉の男:渡辺聡

前作『立喰師列伝』での立喰師たちとの死闘で身も心も疲れ果てた神山店長は、立喰師の襲撃を受けることのないファミレスに転職を果たす。だが、ある夜の午前0時、彼の店に美しい女性客が現れて……。シリーズ随一のスリリングでリリカルなラブストーリー。
≪STORY≫
1981年。予知野屋とロッテリアの店長として手強い立喰師たちと死闘を演じた神山店長は、身も心も疲れ果て、立喰師のターゲット足りえないファミレスの店長として外食産業に復帰していた。だが、一時安定したかに見える神山の日常を破るように、その女は現れた。午前0時になると一輪のタンポポをお冷のグラスに挿し、コーヒー一杯だけを注文するその女は、神山の大学時代のクラスメートで、男子学生から昼食をゴトすることで「学食のマブ」と異名を取る女立喰師だった。神山の胸に去来する、ある、彼女との思い出……。
しかし、彼女の行動に犯罪の匂いを察知した神山の目の前で、物語は予想もしない方向に転がり出してゆく。

草間のささやき 氷苺の玖実
監督・脚本・撮影・編集:湯浅弘章
玖実:藤田陽子
由起夫:和田聰宏
光男:若松武史

風に揺れる一面の唐黍畑……時が止まったような自然の中、妖しい美しさで通りすがりの男たちを惑わせる玖実。立喰師史上、ほとんど語らずして色香を武器に食べものをゴトするヒロインが初登場。アンニュイなムードと摩訶不思議な魅力あふれる美的映像詩。
≪STORY≫
大人の背丈も超えるほどに伸び、波のように静かに揺れる広大な唐黍畑の中に、その女──玖実はいた。通りかかる菓子業者の男たちを妖しい美しさで惑わせては畑へと導き、なぜか金銭ではなくその商品ばかり奪う玖実。彼女は、畑の主人である光男という初老の男に雇われ、畑に建つ小さな堂の中で彼の身の回りの世話をしていた。
ある日、かき氷屋の精悍な青年・由起夫が畑を通りかかる。かき氷は、幼い頃から玖実にとって特別な食べ物だった。玖実に気づいた由起夫が氷苺を差し出すと、玖実はそれを受け取ることなく、恥じらいながら、いつもとは違う眼差しを彼に注いで畑の奥へと消える。彼女を追って畑へと足を踏み入れる由起夫。それは、甘くて不思議な"ひととき"と悲劇の始まりだった……。

歌謡の天使 クレープのマミ
監督・脚本・編集・VFX:神谷誠/撮影:村川聡
クレープのマミ:小倉優子
クレープ屋店長 岡林耕造:池内万作

1985年、東京・原宿。とあるクレープ屋に現れたアイドル予備軍の美少女マミ。彼女の語る、恐るべき"真実"とは!?多彩な映像ギミックと大量のナレーションを駆使して描く、「虚実入り交じったもう一つの昭和史」。シニカルでブラックユーモアあふれる、娯楽大作風立喰師列伝。
≪STORY≫
1985年、東京・原宿。当時若者文化の中心だったこの街の竹下通りにあるクレープ屋店長・岡林のもとに、あどけない笑顔の美少女・マミが現れた。アイドルの卵を自称する彼女は、岡林に、「テレビばっかり見てるとバカになりますよぉ?」と警告する。無銭飲食の常習者として手配され、怪しげな男たちに追われるマミ。夜、空腹でよろめくマミを大量のクレープで救った岡林は、いったい誰に追われているのかと彼女を問いつめる。
この話を聞けばもう後戻りはできないと断った上で、マミが真顔で語ったのは、第2次大戦後の日本におけるテレビジョンの爆発的普及と数々のアイドル神話の影に隠れた、恐るべき"真実"。それは、占領軍による《3R5D3S政策》に端を発する、巨大な陰謀だった……。

ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子
監督・脚本:押井守/撮影:湯浅弘章/編集・VFX・撮影:佐藤敦紀/
FsJ87"Temjin"(天人)」デザイン:鬼頭栄作/衣裳デザイン・制作:竹田団吾
ケンタッキーの日菜子:佐伯日菜子

AD 2052。成層圏から巨大降下猟兵「FsJ87"Temjin"(天人)」で地球に降り立つ女大佐(カーネル)。かつて「ケンタッキーの日菜子」と呼ばれる凄腕立喰師だった彼女の、地球行の目的は……? 戦艦やメカなどへの押井監督のフェティシズムが炸裂する異色SF編。
≪STORY≫
AD 2052。地球衛星軌道上を周回する強襲揚陸艦「龍攘 II」から、多数の巨大降下猟兵「FsJ87 "Temjin"(天人)」が地球に向けて射出された。その中の一機のパイロットで、仲間うちで大佐(カーネル)と呼ばれる日菜子は、かつては「ケンタッキーの日菜子」という名の凄腕の立喰師だった。
大気圏突入後、敵の攻撃を受け、次々と火の玉になり散ってゆく僚機群。ミサイルとビームの雨をくぐり抜け、轟音とともに逆噴射した日菜子機は、機体の一部を損傷しつつも、かろうじて地表に降りたつ。息つく間もなく襲い来る、巨大生物兵器スナクジラ。迎撃に成功した日菜子は、戦火のために砂漠と化した無人の地表を、独りさまよい歩く。そして、霧につつまれた荒野の果てに、彼女が見たものは------?

2007年度作品/カラー/DV/ビスタサイズ/ステレオ/上映時間:2時間3分

原作・総監修:押井守
音楽:川井憲次(サウンドトラックCD:ジェネオン エンタテインメント)
音響監督:若林和弘
主題歌「ヒメゴト」&エンディングテーマ「孤城の月」:樹海(ジェネオン エンタテインメント)
VFXスーパーバイザー:佐藤敦紀・神谷誠
オープニング出演:兵藤まこ

エグゼクティブ・プロデューサー:森遊机
プロデューサー:久保淳

製作:ジェネオン エンタテインメント
制作・配給:デイズ


第20回東京国際映画祭 日本映画・ある視点部門 公式出品作品
渋谷 シネクイントにて、11/10(土)〜11/30(金) / 大阪 テアトル梅田にて、12/8(土)より / 名古屋 シネマスコーレにて08年1/19(土)〜2/8(金) / 京都 みなみ会館にて08年1月 / 福岡 TOHOシネマズ トリアス久山にて08年1/19(土)〜2/1(金)、特別限定公開!